基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言5)

遺言書を作成した方が良い方とはどのような人でしょうか?

 次のような方は、遺言書を作成した方が良いでしょう。

①おひとり様

 おひとり様は、自分でせっかく築いた財産があっても、遺言書がなければ相続人が不存在の状態になりますので、一定の手続を経て最終的には遺産は国庫に帰属することになります。

②事実婚のカップル

 民法上配偶者とは法律上の配偶者をいいますので(民法第890条、第739条)、内縁の配偶者には相続権はありません。したがって、他に相続人がいなければ、特別縁故者として遺産を引き継ぐことができますが(民法第958条の2)、他に相続人がいれば、遺産はすべてその者に帰属することになりますので、内縁の配偶者は一切財産を引き継ぐことができません。

③子供がいない夫婦

 亡くなった方に両親がいれば、相続人は配偶者と義父母になります(配偶者の相続分は3分の2)。両親が既に死亡していれば、相続人は配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります(配偶者の相続分は4分の3)。いずれにしても、遺言書がなければ、配偶者に全財産を渡すことができません。

④先妻との間の子と配偶者(後妻、後妻との間に子がいる場合も同じ)

 先妻との間の子にも平等に相続権がありますので、配偶者(後妻)と先妻の子が相続人のケースでは、遺産争いが生じないようにするために、遺言書を作成しておいた方がよいでしょう。

⑤夫婦2人の世帯で子供が遠方にいる

 争族(子供が法定相続分を主張する)になると、場合によっては、配偶者の居住する自宅を売却して分配するしかなくなりますので、残された配偶者は自宅に住み続けることができません。

⑥高齢で認知症が心配な方、持病があって突然倒れたときのことが心配な方

 認知症にかかってしまうと、遺言書の作成、不動産の売却、介護施設への入所、預貯金の払戻が難しくなります。万一の場合の資産凍結に備えて、事務委任契約兼任意後見契約と遺言書の作成を検討しておいた方がよいでしょう。

⑦子供に障害がある方、子供が引きこもりの方

 自分が死んだ後の子供の生活(生活費、財産管理、支援など)が心配になりますので、遺言書で障害のある子に一定の財産を相続させた上で、信頼できる人(兄弟姉妹など)に対して障害がある子の財産の管理を頼むことがよいでしょう。

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