基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言16)

予備的遺言とは?

 遺言者(夫)が、例えば、相続人が妻、長男、二男の3人であった場合に、「長男に全財産を相続させる。」旨の遺言書を作成したときに、仮に、遺言者よりも先に長男が死亡してしまったときには、遺言の効力はどうなるでしょうか?

 この場合、遺言者の死亡以前に相続させる相手が死亡してしまったわけですから、この遺言書は当然無効ということになります。仮に、長男に子供(孫)がいたときに、遺言者の意思としては、長男が先に死亡したときは、長男の子である孫に全財産を相続させるという意思があったとしても、孫に対して全財産を相続させるという内容の遺言書がない以上、孫は全財産を相続することはできません。

 このように受遺者が先に死亡した場合に備えて、予備的に他の者に相続させると遺言書で明示することを、予備的遺言といいます。例えば、「遺言者は、その有する財産を長男に相続させる。ただし、遺言者が死亡する以前に長男が死亡した場合は、長男に相続させるとした全財産は、長男の長男に相続させる。」と記載します。

 この事例ではありませんが、どのような順番で人が死亡するかは全く分かりません(神のみぞ知る)ので、遺言書を書く際には、死亡する順番を年の順などと思い込みで勝手に決めない方が良いかもしれません。万一に備えて、遺言書には予備的遺言を記載すること検討した方が良いかもしれません。

 ちなみに、私の遺言書は、公証役場で作成した公正証書遺言であり、予備的遺言の条項も入っています。

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