基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言17)

公正証書遺言を作成する手続は?

 公正証書遺言は、公証人に作成してもらいます。手続的には、遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口述し、それに基づいて公証人が遺言者の真意を書面に文章としてまとめて作成します。

 ただし、誰に、どの財産を分け与えるか、遺言執行者は誰にするかなど、遺言書の内容については遺言者自身が決定する必要があります。したがって、遺言者は、自分で公証人に対して遺言内容を説明する下書きを作成した上で公証人に相談することになります。もし下書きの内容に自信がない方は、弁護士や行政書士などに遺言内容の下書きのアドバイスをしてもらうのも一つの方法です。

 公正証書を作成する公証役場は、どこの公証役場でもよいことになっています。事前に電話をして日時を予約し、費用、必要な書類などについて確認した上で相談に行きます。

 公正証書遺言の作成に当たっては、証人も2人必要となりますが、自分で手当てできない場合は、公証人に証人の手当てを依頼するとよいでしょう(ただし、証人の日当の支払が別途必要になります。)。

 公正証書遺言を作成するために必要な書類としては、①遺言者の「印鑑証明書」及び実印、②遺言者と相続人との関係が分かる戸籍謄本、③財産を相続人以外の者に遺贈する場合はその者の住民票、④資産の中に不動産がある場合は不動産の「登記事項証明書」及び「固定資産税評価証明書」又は「固定資産税納税通知書」、⑤資産の中に預金がある場合は預金通帳、⑥遺言者の本人確認書類として運転免許証などです。

 公正証書遺言を作成する場合は、事前の遺言内容の打合せの時と作成の時とで合計2回公証役場に行くことになります。

 公証人の費用は、財産をもらう人が一人のケースでは、遺産総額5,000万円で29,000円、1億円で43,000円となっています。財産をもらう人が複数のケースでは、財産をもらう人ごとにもらう遺産額に応じた費用を計算し、最後にこれらの金額を合計します。このほかに専門家にサポートを依頼すると、5万円から20万円の報酬の支払が必要になります。

 トータルでは、5万円~20万円くらいかかりますが、この費用をもったいないと感じるか、将来の家族内の争いを防止するための保険料と考えるか、皆さんの気持ちの問題だと思います。

 

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