基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言18)
法務局で保管する自筆証書遺言の特色は?
法務局での自筆証書遺言の保管制度が、2020年7月10日から始まりましたが、特色としては次のような点が挙げられます。
1 保管申請手続きは、本人が法務局に直接出頭して行います。また、事前の予約が必要です。
2 法務局では、遺言書の形式面のチェックのみを行い、内容面のチェックはしません。また、法務局では、作成内容の相談も行っていません。
3 保管期間は、死亡日から50年間、画像データは死亡日から150年間となります。
4 遺言者が死亡したときは、指定した者に対して、遺言者が死亡した旨と法務局保管の遺言書がある旨のお知らせが通知されます。
5 全国どこの法務局でも自筆証書遺言の検索が可能になります。
6 死亡後は、相続人が「遺言書情報証明書」の交付請求が可能です。
7 家庭裁判所の検認が不要なので、すぐに遺言を執行できます。
このように非常に便利な制度となっています。特に、遺言者本人の死亡後に、従来の自筆証書遺言の制度とは異なり、相続人に発見されなかったり、偽造又は変造されたりといった相続をめぐる紛争を防止することができなかった点を解消するものといえますし、また、家庭裁判所での検認といった手続が必要ないので、すぐに遺言執行ができる点が大きなメリットといえます。
唯一の問題点は、自筆証書遺言は、遺言者自身が自分で内容を作成する必要があることで、法務局では内容の審査やアドバイスをしてもらえない点です。もし自分で作成することに自信がない方は、専門家のサポートを受けて作成することが望ましいでしょう。