基礎から学ぶ遺言相続講座(相続29)
遺産分割で共有とした場合の問題点は?
よく遺産分割がなかなかまとまらないので、今回の相続(父が被相続人で、相続人は母、長男、長女のケース)では、所有不動産は共有にしておこうということがあります。
しかし、これは問題の先送りでしかありません。
なぜならば、共有不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要となるからです。ということは、一人でも売却に反対する者がいれば、売却できなるなるというリスクがあるということです。
さらに、もし相続人の中の誰かに、相続が生じたりすると、相続人の人数が増えて、さらに相続人間の同意を得ることが困難になります。
したがって、不動産については、相続で安易に共有名義にしない方が良いということです。
なお、共有名義にすることが全くいけないかというと、そうではなく、例えば、すぐに売却する予定の不動産で、売却代金を相続人間で法定相続分に応じて分配するといったケースでは、共有名義とすることは問題ありません。
特に、相続した不動産について、小規模宅地の特例の適用を受けるケースや、地積規模の大きな土地の評価方法の適用があるケースや、譲渡所得の特例に該当するようなケースでは、共有とすることによって共有者全員が適用を受けられるケースもあり、大きなメリットにもなることがあります。