基礎から学ぶ遺言相続講座(相続30)

とりあえず不動産を配偶者に全部相続させることは、相続税の節税対策としてどうでしょうか?

 相続人(配偶者、長男、長女)間で遺産分割がなかなかまとまらず、とりあえず今回の相続では、配偶者に不動産は全部相続させて、相続税の納税については、配偶者税額軽減の適用を受けてゼロ(相続税の節税)にしようということがあるかもしれません。

 しかしながら、これは問題の先送りで余り良いことではありません。

 もし、最近は、熟年者でも再婚するケースも多いので、仮に、残された配偶者が結婚(再婚)でもしたら、二次相続での子供らの相続分は当初予定(子2人が相続人で相続分は各2分の1ずつ)よりも減ってしまいます。

 また、年数が経って二次相続(残された配偶者が死亡)が発生すると、今回の相続では、親は誰もいなくなるので、ある意味で重しがありませんので意見がまとまらずに相続(争族)争いとなるかもしれません。

 相続税の申告・納付の関係でいえば、一次相続では配偶者の税額軽減を使って相続税額が0円となっても、二次相続(残された配偶者が死亡したとき)では、基礎控除の対象人数も減少しますし、また、配偶者税額軽減の適用もないので、通常は多額の税金を納めなくてはならないことになります。結果として、一次相続、二次相続を通算した合計の相続税額で見ると、逆に損(納付すべき相続税額が結果として多くなること)をすることもあるかもしれません。

 でも、よく多くの税理士が推奨するような、一次相続、二次相続の通算相続税額をシュミレーションして、最も税額が少なくなるような遺産分けをすすめているわけではありません。私も、一応は一次相続、二次相続のシュミレーションをして試算結果をお示して説明はしますが、相続税の納税額の多寡により遺産分割の仕方を勧めるようなことはしません。

 それは、人はいつ死ぬかは誰にも分からないし、死ぬ順番も誰にも分からないからです。そうだとすると、今回の相続では、今の時点で、各相続人が自分の希望・要望(住宅ローンの支払や子供の教育費に支払のために現金がほしいなど)に沿った遺産分けを考えていくのが一番重要なことであり、相続税の節税のことは優先順位が低いかと考えています。

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