基礎から学ぶ遺言相続(相続34)

債務(借入金)を相続人のうちの一人が引き継ぐにはどうすればよいか?

 民法上は、債務(借入金)は、法律上当然に法定相続分で分割して相続することになっています(民法第899条、第427条)。

 このため、相続人間で遺産分割協議により、特定の相続人(長男)が債務を負担すると決めても、これを債権者(銀行など)に主張することができませんので、債権者(銀行)は、各相続人に対して、法定相続分で案分した割合に基づいて請求することができます。

 なお、債権者(銀行)の同意を得て、特定の相続人(長男)が当該債務(借入金)を承継することはできます。この場合には、債権者の同意を得て免責的債務引受(長男が債務を引き継ぎ、他の相続人は債務を免れる契約の方法です。)をすれば、長男一人が債務を引き継ぎ、他の相続人は債務(借入金)を免れることができます(民法第472条)。

 参考までに、相続税法上の取扱いでは、遺産分割協議によって特定の相続人(長男)が当該債務(借入金)を承継すると定めた場合には、特定の相続人(長男)から当該債務の全額を控除して相続税の計算をすることができます。つまり、債務控除に当たっては、法定相続分で按分計算しなくてもよいということです。ただし、遺産分割協議書にその旨が分かる記載があることが必要になります。

 このように、民法と相続税法では異なる取扱いとなる点の一つです。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です