基礎から学ぶ遺言相続講座(相続39)

資産の凍結は、なぜ起こるのか?

 資産凍結とは、本人の判断能力の低下や喪失、あるいは、死亡・共有といった事実によって、本人又は家族が自由に財産を処分できなくなることをいいます。

 資産凍結は、具体的には、次のようなケースで発生することが考えられます。

1 認知症にかかっており、本人に判断能力がないと判断されてしまうと、財産は処分できなくなります(金融機関の窓口で家族の者が本人は認知症で来れないと言った瞬間に払戻はできなくなります。)。

2 預貯金については、家族から金融機関への死亡した旨を連絡することによって凍結されてしまいます(家族でも解約や払戻はできません。)。

3 不動産については、所有者が死亡した場合、相続登記をしないと相続人の名義となりません(遺産分割協議書が必要です。)ので、相続人は不動産を売却することや賃貸することなど何もできません。

4 もとも共有であった不動産については、共有者間で処分等を巡って意見の対立があると、共有者全員の同意がないので売却することもできません。

 このような資産凍結に遭ってしまうと、例えば預貯金については、次のような問題が生じます。

 預貯金の解約や払戻ができませんので、家族は入院代や葬式費用を支払うこともできません。

 ただし、預貯金の解約・払戻をする場合には、相続人全員での遺産分割協議を成立させた上で、相続人全員が実印で押印した「遺産分割協議書」(印鑑証明書付)を金融機関に提出しなければできません。相続人間で争族争いがあると、いつまでも預貯金雄解約・払戻ができなくなります。

 このほか、相続人の中に行方不明者がいたり、海外在住者がいるケースでも、簡単に遺産分割協議が成立しないケースもあります。

 このような資産凍結を防ぐには、

①死亡の際の相続争いに伴う問題を回避するには、公正証書遺言を作成して、特定の相続人に遺産を相続させるようにすること、

②認知症などへの備えとしては、事務委任契約書及び任意後見契約を公正証書で締結しておくこと、

をおススメいたします。

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