基礎から学ぶ遺言相続講座(相続40)

資産凍結を防ぐ方法は?

 認知症などに罹っており、判断能力が低下している段階において、ご家族が資産凍結を予め防ぐ方法としては、次のような方法があります。

1 預金については、家族があらかじめ「代理人カード」を作成しておく方法があります。

2 本人の判断能力の低下・喪失に備えて、予め信頼できる家族などとの間で「財産管理委任契約及び任意後見契約」を公正証書で締結しておく方法があります。あるいは、信頼できる家族などとの間で、「信託契約」を締結して財産の名義変更してその者に財産管理を任せる方法があります。

3 不動産については、判断能力がまだ十分にあるうちに、①共有物件があれば他の共有者の同意を得て単独所有とするか、あるいは、処分をしてお金に換えておきます、②先祖代々の土地で相続登記が未了な物件や未登記建物は今のうちに登記をしておきます、③予め元気なうちに生前贈与(相続時精算課税による贈与)をしておきます、といった手当てをしておくことが考えられます。

 また、万一、相続があった場合には、家族間で争いとならないように、かつ、スムーズな遺産分けとなるようにすることがポイントとなります。そこで、相続前後で次のような方法を取っておくことが考えられます。

1 生前であれば、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言など家庭裁判所の検認手続が不要な方式で遺言書を作成しておくことです。

2 相続が発生した場合には、遺言書がない場合は、法定相続分を目安として、できるだけ円満な形での遺産分割協議を早期に成立させることです。不動産は、できれば共有名義にしないようにしましょう。 

 特に、認知症による資産凍結を防ぐ対策としては、公正証書遺言書を作成しておく方法と、財産管理委任契約及び任意後見契約を締結しておく方法をセットで行っておくことがベストといえます。

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