基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言31)

遺留分侵害額請求があったときはどうするのですか?

 遺留分侵害額請求があった場合には、遺言によって財産を取得した相続人などは、遺留分に相当する金銭を支払う必要があります。

 もちろん相手方が了解すれば、分割で支払うこともできますが、遺産としては不動産しかなく、金銭で支払うことができないといった事態もありえます。

 このような場合には、遺留分相当額の金銭の支払に代えて、相続した不動産又はもともと自己の所有する他の不動産を、代償財産として交付することもできます。ただし、注意しなければならないのは、代償財産を交付した場合には、代償金の支払義務の履行によって消滅した債務の額に相当する価額によって当該不動産を譲渡したものとして取り扱われますので、譲渡所得税が課税されてしまうということです。これでは、せっかく遺言で、例えば自宅を特定の相続人に相続させるとしたとしても、それが実現できないこともあるということです。

 このような事態にならないようにするには、遺言で全財産又は特定財産を相続させる特定の相続人に、予め代償金を支払う資金を手当てしておくことが必要になります。もちろん遺言の中でその者に十分な預貯金を相続させる内容としてしてあれば問題ありません。

 一般的にその方法としてよく用いられる方法が、その特定の相続人を死亡生命保険金の受取人とする生命保険契約(被保険者は被相続人とします。)を締結しておくことです。死亡生命保険金は、相続財産(遺産)には含まれないことから、遺産分割の対象にはならず、受取人固有の財産として扱われますので、特定の相続人はこの保険金をもって遺留分侵害額の支払に充てることが可能となります。

 特定の相続人に対して、特定の不動産を相続させる旨の遺言書(特定財産承継遺言)を作成する場合には、遺留分の支払資金の手当てのために生命保険契約の受取人をその者に変更しておくなどの手当てをしておくとよいでしょう。

 

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