基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言33)

遺言を撤回したいときは?

 遺言は、遺言者の最終意思を保障するものですから、一旦有効になした遺言であっても、遺言者は、いつでも自由に、遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法第1022条)。

 撤回に当たっては、何ら撤回する理由がなくても構いませんし、撤回の原因も問われません。

 撤回の方式は、遺言の方式に従えばよいとされていることから、撤回される元の遺言の方式と同じ方式でなくても構わないので、例えば公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできます。

 遺言で撤回する方式には、①前の遺言を撤回する旨の遺言を作成する方法、②前の遺言を撤回して新しく遺言を作成する方法、③撤回する遺言を作成せずに前の遺言と抵触する内容の新たな遺言を作成する方法があります。ただし、撤回の効力を完全に有効とするためには、前の遺言を撤回するとともに、新たな内容の遺言を作成するのがベターといえます。

 このほかに、遺言の内容と抵触する生前処分行為(売買、贈与など)を行った場合には、抵触する部分については、遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条)。

 また、遺言者が、故意に遺言書(法務局保管以外の自筆証書遺言に限ります。)を破棄したときや、遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、遺言を撤回したものとみなされます(民法第1024条)。

 なお、撤回の方式や撤回した部分の解釈に争いが生じることを避けるためには、できれば公証人のもとで公正証書遺言の形式によって、遺言書の撤回をするとともに、新たな遺言書を作成することが望ましいと考えます。

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