1 実家の不動産の相続があったときにまず考えるべきことは何か?

 ⑴ はじめに

 税理士として相続税申告書の作成の仕事をしていますと、よくある相談は、①実家の自宅は誰も住んでいないし、相続人も自分の自宅を所有しているので、要らないので処分したい、②親がバブル期に買った山林、原野が遠方にあるけれど、何とかこれを処分したい、③実家の財産として農地(田、畑)が多数あるがどうしたらよいか?、あるいは、④古いマンション、貸家などの賃貸物件があるがどうすればよいか?、といった内容かと思います。

 ①のご相談では、おおむね売却する方針で決まっていますので、立地条件が良い物件については、後は良い条件の売却先を見つけることになるでしょう。これに対して、田舎に実家がある場合は、売却の値段よりもそもそも売却先が見つかるかどうかが問題となるでしょう。でも、おそらくその前に、相続人(子ら)が複数いる場合には、遺産分割協議が成立できるかどうか(相続人全員が売却方針に賛成するか)という点が問題となってくるのではないでしょうか。もしかしたら、相続人の中には、当面の間、思い出のある実家は維持したいという気持ちの強い方がいるかもしれません。

 ②のご相談では、どうすれば売却できるかどうか(買う人をどうやって見つけるか?)という点が問題になるでしょう。バブル期に購入した際には、数百万もした山林、原野であっても、現在では全く価値がないと考えられます。当然、現地にも長年行っていない、境界もはっきりしないのではないでしょうか。そのため、固定資産税も非課税であるので、実害はないのでそのまま放置するという選択をする方も多いようです。

 ➂のご相談では、そもそも相続人の方は、今後も農地として維持・耕作していくのかどうかが問題になります。一般的に、春日井市内の農地については、都市計画法上の市街化区域内の農地に該当しますので、固定資産税評価額や相続税評価額は宅地並みの評価額となりますので、例え農地のまま維持するとしても、㋑相続税の納税額は果たしていくらになるのか?、㋺手許現金預金は少ないが果たして相続税の納税はできるか?、㋩今後の毎年の固定資産税は支払うことができるのか?、㋥売却した方が良いのか?、といった点が悩ましい問題になるでしょう。

 ④のご相談では、相続財産の中に築古のマンション、アパートなどの賃貸物件がある場合は、今後これをどうすればよいか?という点が問題になります。通常は、賃貸物件を相続した相続人は、貸主の地位を相続してそのまま賃貸を継続していくことを選択することが多いでしょう。しかしながら、㋑築40年、50年の賃貸物件ともなると、そもそも空き部屋が多くて収入が少ないとか、㋺入居者が高齢者ばかりで孤独死される心配があるとか、㋩将来建物を取り壊すとしても多額の費用がかかるのではないか、㋥売却したいが入居者がいる築古の賃貸物件は果たして売れるのであろうか、といった点が問題となるでしょう。   

 ①、③のご相談に関しては、㋑今からでも相続税額を節税する良い方法はないか、また、㋺相続した不動産を売却するとして売却に伴う税金をできるだけ節税したいが良い方法はないか、といった点も副次的に問題となるでしょう。

 これらの問題点については、項目を改めて順を追って考えていきたいと思います。

 ⑵ 実家の不動産について、➀維持するか、➁活用するか、③売却するか、④当面判断保留するか、まずは処理方針を決める

 実家の不動産といっても、自宅(空き家となった実家)、相続人が居住している自宅の敷地、遠隔地の山林・原野、築古の賃貸物件、田・畑などの農地といったように、様々な不動産があります。

 まず最初に考えるべきことは、これらの不動産について、一件ずつ、①優良な物件なので子・孫の代まで維持するもの、あるいは、親と同居していた自宅や相続人の自宅が建っている敷地なのでそのまま維持したいとするもの、②収益を上げるように活用するもの、③相続登記後にはすぐに売却する予定のもの、④当面は判断を保留し維持していくもの、といったように①から④の区分のどれに該当するかについて判断して、処理区分を決めていくことが重要であるということです。

 相続(遺産分割)においては、相続人は、一般的には、誰でも優良な物件は欲しいと考えるでしょうし、不動産は要らないので法定相続分に見合うお金で欲しい、という気持ちの方が多いように感じます。相続人(兄弟姉妹)が多い場合は、処理方針以前に遺産の分け方が決まらないことも多いでしょう。

 このように処理方針を決定する際に、ネックとなりうるのが、一つは相続人間で処理方針が一致しないため処分以前に遺産分けができなくなるケース(㋑)であり、もう一つは亡くなった親が「先祖代々の土地であるから維持してほしい」との思い(遺言)を伝えられたケース(㋺)ではないかと思います。

 ㋑のケースは、そもそも相続人(兄弟姉妹)間で遺産の分け方でもめているケースであり、相続人間での遺産分割協議が合意することができませんので、どのようにすれば相続人の全員が納得するような遺産分け(合意)をすることができるかという遺産の分け方がまずは問題となるといえるでしょう。

 一方で、㋺のケースは、親の思いを相続人全員がどう反映(尊重)していくかどうか、という点ですが、この点については、意外とこじれる原因の背景事情は、幼いころからの家族間での感情的な対立(親子間の対立や兄弟姉妹間の対立など)が原因となることも多いようです。

 いずれにしても、実家の不動産をどうするかについては、それぞれの物件ごとに処理の方針を決めることが重要となりますが、それとともに遺産の分け方(遺産分割協議)をどうするか(どう合意することができるか)も前提として問題となってくるでしょう。

 ⑶ 方針を決める際に考慮すべき点は?

 すべての相続人が、実家の不動産をどのようにするか(方針決定)について、合理的に、かつ、冷静に決定することができればよいのですが、実際にはなかなかそうはなりません。

 そこで、実家の処理方針を決める際には、次の点を考慮して考えてほしいと考えています。

 ① 維持した場合のコストは果たしていくらかかるのか?

 相続人の皆さんは、実家を維持した場合のコストについては意外と考えていないことが多いようです。感情論から実家を維持したいといっても、果たしてコストはいくらかかるのか、そのコストを自分のお金で支払っていけるのか、という点が問題になってきます。実家の自宅を維持した場合のコストとしては、固定資産税、電気・水道・ガス代、庭木の剪定代などで毎年少なくとも20万円~40万円程度はかかるのではないでしょうか。10年間で考えると、少なくとも20万円×10年=200万円にもなります。相続人が複数人いる場合に、この費用を相続人のうちの誰かがいったんは立替していくとしても、この費用の負担を他の相続人にも公平に分担してい欲しいという気持ちが強いようです。遺産分割の話合いが長引けば、この費用負担についての話合いもできませんので、費用を立替した相続人の不満は相当なものになるでしょう。家庭裁判所の調停でも、よくこの費用負担は問題となってきます。

 このほかに、金銭には換算できないものになりますが、換気・見回りの手間(往復の交通費や時間)、草刈り作業の手間、防犯・防火・害獣の不安、近所からの苦情といった目に見えない肉体的・精神的負担といったものもあります。自宅や農地の草木が伸びると、必ず近所から苦情がきます。 

 ② 処分方針を先送りすること(判断保留)は楽ですが、子や孫の負担とならないか?

 実家の処分を先送りすれば、建物の解体費用や、遺品整理の業者の費用も支出を免れることができますし、また、片付けの手間も当面は回避することができます。でも自分(親)の代で問題を先送りするということは、自分の子や孫に実家の処分の負担をかけることになってしまいます。そういったことからも、やはり自分の代で問題は解決しておくべきではないでしょうか。また、仮に50代半ばで相続があって今は仕事が忙しいということで仮に10年間問題を先送りしたとすると、10年後の60代半ばとなると、残念ながらそのころには家の片付けをするだけの自分の体力がついてこないこともあるでしょう。したがって、処分するならば、早めにということになるかと思います。

 ③ 実家を処分するとしたとき家の中の片付けをどうするのか(自分でやるのか?)?

 相続人のお話を聞いていて、実家の処分を先送りする要因として意外と多いのが、実家の家の中が物で一杯である、ごみ屋敷化している、といった理由から問題の先送りをしているケースではないでしょうか。自分で片付けするとなると、ついつい思い出の品物や写真が出てくると見入ってしまったりして片付けは遅々として進みませんし、仕事を持っている方は週末に実家に行って片付けるとなると休日に回数も時間も取られてしまいます。ここは割り切って、現金、金銭に換金できる物のみを探して、あとは遺品整理業者に任せてすべて処分する(お金で解決する。)といった方針で臨む必要があるのではないかと思います。

 ④ 実家の不動産を処分した場合の手残り(売却代金から諸費用を差し引いた残額)はいくらになるのか?

 実家の自宅を処分したとしたら、いくら手残りがあるかという点も、方針決定に当たっては非常に重要な点です。うまく高値で売却できて手残りが沢山あれば、遺産分割での調整金として使うこともできます。また、相続税の申告期限までに売却できれば相続税の納税資金に充てることもできます。でもその前に、そもそも田舎の実家の自宅のように売却できるのかが問題となるケースもあるでしょう。いずれにしても、売却方針であるとおおむね決まっているのであれば、早い段階で一度業者の査定(買取価額)を取ってみることがよいでしょう。一方で、早くお金を必要としない、できるだけ高く売却したいということであれば、業者の査定価額を聞いた上で、時間はかかりますが希望する高い価額で売りに出すという選択もあるでしょう。そうではなくて、余り売却金額にはこだわらないので早く処分したいとか、早期にある程度まとまったお金が必要である、ということであれば、業者の買取価額で売却を決定すればよいでしょう。業者に相談すれば、売買価額、建物取壊し費用、仲介手数料、測量代などの諸費用を見積もってくれますので、おおよその手残りの金額が計算できます。

 注意しないといけないこと(忘れてはいけないこと)は、この手残り金額(儲け)から売却に伴う所得税及び住民税として約20%を支払う必要がありますので、実際には手残りはさらに減ってしまうということです。このほかに、個人事業主で国民健康保険に加入している方は、国民健康保険料に土地譲渡の所得(儲け)が反映されますので、翌年の保険料がアップするということです。

 これらの事柄を考慮して、実家の不動産の処理方針を決定すると良いでしょう。

2 実家の不動産をどうするかについて具体的に考える

 ⑴ 実家の不動産をそのまま保有(維持)することはデメリットが多いか?

 先にも述べたように、実家の自宅を維持するには、それなりのコストがかかります。固定資産税、電気・水道・ガス代、庭木の剪定料、実家への往復の交通費、防犯・防火対策としてセコムなどに加入する際の管理費用などです。実家の場所や大きさにもよりますが、維持管理費用はおおむね毎年20万円~40万円くらいになりますが、これが10年、20年になると相当な金額(例えば、20万円×10年=200万円)になってしまいます。実家の処分を保留して維持管理するとなると、これだけの金額を自己の預貯金で賄う必要があるということです。何となく問題の先送りをしているだけ、あるいは、感情論から維持しているのであれば、 非常にもったいない気がします。

 ⑵ 不動産を売却するとして、節税の観点からはいつまでに売却するのが望ましいか?

 実家の不動産を売却する方針に決まったとして、次に考えたいのがいつまでに売却するかという点です。税法には、知っていれば得になるような様々な特典があります。ただし、適用要件が厳しいことと、適用に当たっては「一定の期限がある」ことにも注意しなければなりません。

 まずは「一定の期限までは保有しなければいけない」という期限です。

 相続税法上は、実家(自宅)について小規模宅地等の特例が適用できるケースであれば、相続税申告書にその旨の記載と証拠を添付すれば、土地の評価額が330㎡まで△80%減額できますので、大幅な相続税の節税につながります。細かい要件は、ここでは述べませんが、亡くなった親と同居している相続人であれば、該当することが多いと考えられます。また、亡くなった親が一人暮らしで実家が空き家になったとしたら、自宅を所有していない相続人が相続すれば、小規模宅地等の特例が適用できる可能性があります。相続税申告書の提出が必要なご家族では、生前に早めに税理士に相談をした方がよいでしょう。この特例は、死亡時の状態で決まってきますので、死亡後には遡って適用することができないからです。

 注意しなければならないのは、この小規模宅地等の特例を適用する相続人(子)は、相続税の申告期限(死亡日から10か月後)まではその土地を保有する必要があるということです。もし相続税の小規模宅地等の特例の適用を受けて相続税の申告書を提出し、その後、死亡日から10か月以内に実家を売却した場合には、結果的には小規模宅地等の特例を適用することはできませんので、後日、修正申告書を提出して追加で納税することになってしまいます。つまり、小規模宅地等の特例を適用した場合には、少なくとも死亡日から10ヵ月後までは、実家の売買契約は締結してもよいのですが、物件の引渡(代金の決済)はできないということです。逆にいうと、相続開始後10か月後までは実家を保有していなければならないということです。

 次に、「一定の期限までに売却すれば税法上の特典を受けることができる」という期限についてです。

 所得税法上は、①相続した物件を相続開始後で相続税の申告期限(死亡日から10か月後)の翌日から3年以内に売却すれば、譲渡所得の計算上は、売却物件に対応する相続税相当額を経費(取得費)として加算することができますので、その分譲渡所得税の負担が減ります。また、②実家で亡くなった一人暮らしの親が住んでいた自宅(空き家、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること)について相続開始日から3年後の12月31日までに売却した場合には、建物取壊し等を条件として「空き家譲渡の特例」が適用できる場合があります(譲渡所得(儲け)から3,000万円控除できます。)いずれも適用要件が複雑でかつ厳しいので、必ず売買契約を締結する前に事前に税理士に相談してください。売却してからでは必要書類を揃えることができないこともありますし、数日、数か月の違いで適用期限が過ぎていて適用が受けられないこともありますので、注意してください。

 ⑶ 相続後に相続した不動産を賃貸物件として活用することはどうか?

 よく相続税対策として、金融機関から借入をして賃貸マンションを建設するという方法がとられます。これは、現金預金のまま保有する評価額と不動産に転換して保有する評価額との間の評価額の乖離を使って節税する方法になります。土地・建物の評価額については、そもそも時価と比べて、土地の評価額は路線価ということで時価のおおむね80%となり、建物の評価額は固定資産税評価額ということでおおむね建築費用の50%から60%なりますので、現金預金で保有しているケースと比べると、大幅に評価額が下がります。さらに、建物に入居者がいることにより、建物は借家権価額(△30%減額)を控除した金額で評価することになりますし、土地は貸家建付地で評価(借地権価額×借家権価額×賃貸割合=△50%×△30%×100/100=△15%減額)することになりますので、大幅に土地建物トータルでの評価額の圧縮を図ることができます。他方で、借入金については債務控除で控除することができます。

 確かに、更地に賃貸マンションやアパートを建設することで相続税の節税にはつながりますが、実は一番相続税が節税になるのはマンション完成後にすぐに死亡した場合なのです。でも大切なのはマンションやアパートを建設した後の賃貸経営の収支の方なのです。被推定被相続人が長生きをして、賃貸後10年、20年も経過すると、マンションも相当に経年劣化し、入居者も減ってきますので、修繕費等もかさんで賃貸経営の収支が悪化してしまいます。また、建物の耐用年数(木造の居住用であれば22年)が過ぎれば、減価償却費も費用計上することがなくなりますので、差引所得も増えますので所得税の負担も増えてきます。さらに、40年、50年も経過すると、いよいよ建物の取壊しも必要になりますので、取壊し費用として木造であれば数百万円、鉄筋コンクリートのマンションであれば数千万円を用意しなければなりません。そうすると、長い間今まで貯めてきたお金も、一気になくなってしまいます。少子化・非婚化の進んだ日本においては、今後若い家族もそう増えることも見込まれませんし、人手不足で建築費も高騰していますので、今から相続税対策として賃貸マンションを建設するのは、採算面を考えるとどうかと思います。金融機関や不動産業者の節税という甘い言葉に惑わされないで、慎重な判断が必要かと考えます。相続税の節税だけにとらわれないでよく考えてください。

 なお、平成8年度の税制改正(令和9年1月1日施行)により、上記のような貸付用不動産の市場価額と相続税評価額との乖離を利用して相続税を大幅に圧縮している事例への対策として、被相続人が課税時期(死亡)前5年以内に新築した貸付用不動産については、課税時期(死亡時)における通常の取引金額(購入価額など)により評価することとされました(課税上弊害がない場合には、算定した価額の80/100に相当金額によって評価できます。)ので、今後は、近々相続開始が見込まれるケースでは、賃貸マンションを建設することは有効な節税策とはならないと考えられます。

 ⑷ 築古のマンション、アパートなどの賃貸物件はどうするか?

 最近多いのが、築40年、50年の築古のアパート、貸家は、今後どうすればよいかというご相談です。長い間、家計収入の足しになっていましたが、築古の賃貸物件ですと入居者も満室ではないでしょうし、現時点までに家賃も値下げをしてきており、さらに入居者も80歳代で一人暮らしの方ばかりということになると、不安が大きいと思います。入居者は借地借家法で保護されていますので、高齢の一人暮らしの老人に立退きをしてもらうのが非常に難しいでしょうし、万一孤独死があったらどうなるかという不安や、入居者が死んだ後の遺品の整理はどうするのか(大抵は相続人のことは聞いていない。)という問題もあります。相続した後も引き続き賃貸物件として維持していくかはなかなか難しい問題かと思います。

 一方で、売却するとなると、果たして買い手がいるのかということも問題になります。しかしながら、最近では、貸家物件について専門で買取りを行っている業者も多数いますので、売買価額の点を気にしないのであれば、入居者ありの状態のまま買い取ってもらい業者が引き続き賃貸業を行っていくか、あるいは、業者が買取後に立退料を支払って建物を取壊した上で売却するなどにより、いずれかの買取業者が買い取ってくれるケースも多いかと思います。ただし、買取業者にはこういった諸費用がかかりますので、業者の提示する買取価額も、立退料、建物取壊し費用などのほか業者の利益を考慮して算定しますので当然に安くなるようです。したがって、売買価額を余り気にしないので、厄介な負動産の処理問題を避けるために早期に処分することを優先したいということであれば、売却するということも一つの選択肢かと思います。

 ⑸ 農地(田畑)はどうするか?

 相続財産の中に市街化区域内の農地がある場合には、このまま農業を続けるか、子や孫の自宅を建てる土地として活用するか、それとも維持管理が大変なので売却するか、という点は悩ましい問題です。もちろん家庭菜園として利用している1筆の土地のみであれば、現状のまま利用しておき、将来的には子や孫の自宅用地として活用することも十分にあり得ます。最も望ましくないのは、先祖代々の土地は守ってほしいという親の思いに従って、多数の農地をそのまま維持するという選択かもしれません。仮に高齢や仕事を理由に自分で耕作ができなければ、農地の耕作を他者(農協など)に委託していくしかありません。このような場合に、土地からはほとんど(全く)収益を生まないにもかかわらず、多額な相続税を負担して相続し、かつ、多額な固定資産税をずっと負担するということは、余程金銭に余裕がある家庭でもなければ、固定資産税の支出ばかりが膨らみ家計を圧迫することになりますがどうでしょうか。できれば市街化農地については、売却するという選択のほかに、駐車場や資材置き場など収益を生むような活用を考えてもよいのではないでしょうか。

 一方、ご相談の多い田舎にある農地(田畑)については、市街化調整区域内の農地になりますので、基本的には家を建てることができません。したがって、このような土地を売却することは容易ではありません。ただし、最近では、田舎暮らしをしたいので田舎への移住を考えている方にそのまま売却するとか、民泊としての活用を考えている業者などのい売却するなど、意外な買受希望者がいることもあります。課題としては、いかにしてこういった方や業者とのつながりをつくるかという点になります。市町村の空き家バンクへの登録や新聞広告にあるような要らない不動産の買取業者に一度相談してみるのも手かもしれません。

 ⑹ 要らない不動産については国有財産帰属制度が活用できるか?

 令和5年4月から、相続土地国庫帰属制度ができました。簡単にいうと、いらない実家の不動産をお金を出して国が引き取ってくれる制度ということになります。2年経過した時点での申請件数に対する国庫帰属した割合は44%となっていますので、有効な方法の一つかとも考えられます。しかしながら、実は表に出ていない数字として、事前相談の段階で拒否された案件や、取下げされた案件も多数あるようです。しかも、この制度を活用できる土地は、ある程度良い条件の土地ということになりますので、一般的に相続で取得するような、地上に樹木がある土地、境界がはっきりしない土地、崖がある土地などは国庫帰属の対象にはなりません。相続人の方々が最も処分したいと考えているような、山林、原野、田舎の実家などは申請の対象にならないのではないでしょうか。もしかしたら国が引き取ってくれるかもしれませんので、一度、法務局の窓口で可能性があるかどうかを相談してみるのも良いかもしれません。 

 ⑺ それでもなかなか売却先が見つからない原野・山林・田舎の実家はどうにかできないか?

 このような山林、原野、田舎の実家については、街の不動産業者も手間がかかる割に十分な報酬がとれないことから、なかなか取り合ってくれません。でも価格を気にしないのであれば、例えば、1万円とか、逆にお金を少し出して引き取ってもらうということであれば、新聞広告に出ているような業者が買い取ってもらえるかもしれません(ただし業者選びに関しては責任は持てません)。中には怪しい業者もいますので、業者選びは当然自己責任となります。他方で、山林などはマニアもいますので、インターネットを活用して売りに出せば、もしかしたら売却できるかもしれません。いずれにしても、お金を得ることを目的としないで、とにかく厄介な物件を処分することを優先することが大切です。

3 実家の片付けをする前に必ず探しておきたいもの・確認しておきたいこととは?

 実家の不動産を売却するとして、気になるのは譲渡した際の所得税のことではないでしょうか。

 ⑴ 譲渡所得税の計算方法について

 所得税法上は、不動産を売却して儲けがあった場合は、譲渡所得があるということで所得税がかかります。

 所得税の計算式は、おおむね次のとおりです。なお、細かい規定は考慮していません。

  所得金額=売買価額ー取得価額ー譲渡費用ー特別控除

  税額=所得金額×20.315% (売却した年の1月1日現在で所有期間が5年超の場合)

 ・売買価額とは、売買契約書の金額がこれに該当します。固定資産税精算金もこの売買価額に加算して計算します。

 ・取得費とは、土地を買ったとき金額になります。建物は、建築価格から減価償却費相当額を控除した現時点の計算上の価額をいいます。相続税の申告期限から3年以内に売却した場合はその物件に対応する相続税相当額も加算できます。

 ・譲渡費用とは、不動産業者の仲介手数料、測量代、登記手続費用、建物取壊し費用などになります。

 ・特別控除とは、空き家を譲渡した場合の特例(3,000万円控除)、居住用財産を譲渡した場合の特例(3,000万円控除)などがあります。

 このうちポイントとなるのは、取得費の金額です。つまり、親が自宅を購入したときの売買金額が明確に証明できれば、所得税の計算上非常に有利になるということです。建物については減価償却相当額を控除しますので大した金額にはなりませんが、土地については一般的には大幅な下落もないでしょうから大きな金額が差し引けることになります。バブル期に購入した土地であれば、所得(儲け)の計算をすればマイナスになることも多いと思います。仮に、土地の売買金額が不明である場合や、親も相続で取得した土地である場合には、税法上は概算取得費の控除といって、今回の売買価額の5%を取得費として計算することになってしまいます。つまり、売買金額から5%しか控除できないということです。

 ⑵ 実家の片付けをする際に必ず探しておきたい「売買契約書」「工事請負契約書」

 ⑴で見たように、譲渡所得の計算では取得費を証明できるかどうかで所得税の金額が大きく変わってしまいます。したがって、実家を処分すると決まった場合は、家の片付けをする際に、親が購入した際の「土地・建物売買契約」、「建物工事請負契約書」を探して見つけておく必要があります。

 通常は、「土地・建物の売買契約書」、「建物建築工事請負契約書」は、「権利書(登記済み証)」(今は「登記識別情報」といってパスワードを記載した書面になります。)と一緒に貸金庫や家の金庫に保管されているはずです。金庫がない家では、預金通帳や保険証書などの重要書類と一緒に保管されていることが多いようです。

 この書類を必ず見つけて保管しておくことが所得税の節税になりますので、十分に留意してください。実家の売買を仲介する不動産業者や、相続税申告書の必要のないご家庭で遺産分割協議書の作成を依頼する行政書士などは、なかなかこの点にまで踏まえたアドバイスをしていただけないことも多いかと思います。

  ⑶ 空き家となった実家を売却する場合は事前に市役所で相談の上物件の引渡(代金決済)前に「被相続人居住用家屋等確認書」を取得すること

 実家が一人暮らしの空き家であった場合は、建物(昭和56年5月31日以前の旧耐震基準の建物)を取壊した上で土地(更地)を譲渡すると、所得税の計算上、空き家譲渡の特例として3,000万円控除することができますので、一般的な自宅(仮に土地が200㎡で㎡当たり10万円として売買価額は2,000万円)であればほとんど税金がかかることはありません(ただし、必要書類を添付して譲渡所得の確定申告をすることは必要です。この必要書類の一つとして重要なものが市役所が発行する「被相続人居住用家屋確認書」になります。)。

 この特例を適用するには、売買契約の締結をした後に、様々な必要書類を添付して市役所に対して「被相続人居住用家屋確認申請書」を提出して「確認書」の交付を受けておく必要があります。市役所によって必要書類も異なりますので、事前に特例を適用できるのかどうか、また必要書類として何が必要か(亡くなった親が生活をしていたことを証明するものとして、建物取壊し前と取壊し後の写真が必要となることや、自宅内に家具などの生活用品が存在していたことを証明する写真や、電気・ガス・水道の使用中止日が分かるものが必要なこともあります。)、などの点について相談・確認しておく必要があります。売買の決済(引渡)が終わった後になって、空き家譲渡の特例が適用できたのではと後から気づいても、その時点では市役所から「確認書」を取得できるかどうかは分かりません。空き家となった実家を売却することを優先してしまい、不動産業者に任せきりにしてしまうと、すべての不動産業者がこの空き家譲渡の特例のことをアドバイスしてくれるとは限りません。

 もう一つ注意しておきたいのが、この空き家譲渡の特例を適用できるのは、実家の土地及び家屋の両方を取得した相続人に限られますので、「遺産分割協議書」を作成する場合には、土地と建物の両方を同一の相続人が取得する内容とする必要があることです。「遺産分割協議書を」作成(専門家に作成依頼)する場合には、気をつけておきたい点です。

 ⑷ 一人暮らしの親が介護施設等に入所した後死亡した場合には「介護保険証」、「介護施設との契約書」などの書類を保管しておくこと

 数年前の税制改正で、一人暮らしの親が介護施設や老人ホームに入所してそのまま死亡した場合についても、一定の要件の下で元の自宅及び敷地について空き家譲渡の特例が適用できることになりました。この場合の適用要件としては、介護施設等に入所した時から相続開始直前まで、①親は要介護認定又は要支援認定を受けて施設に入所したこと、②施設の要件として認知症対応型老人共同生活援助事業用住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅など一定の要件に該当する施設であること、③元の自宅が親の物品の保管等に供されていたこと、④一人暮らしの親以外の者がその後に親の元の自宅に入居していないこと、などがあります。  

 ③は、いずれ親は自宅に戻ってくかもしれないので、そのまま生活できる状況を残しておく必要があるということ、④は、小規模宅地等の特例の適用を受けるために親が施設入所後に子が自宅に入居することは認めないということからです。

 また、親が施設で亡くなった後に慌てて親の実家を片付けてしまってからでは、これらの書類を用意することは難しいケースもあります。また、市役所での空き家確認の申請では、親の実家の電気、ガス、水道の使用中止日(閉栓日、契約廃止日)が確認できる書類も提出することになっていますので、これらの書類も併せて保管しておくとよいでしょう。

4 私自身の経験から

 4年前に私が父から相続した実家の不動産については、➀空き家となった築50年の実家及びその敷地、➁市街化区域内の畑、➂築50年の貸家(3軒長屋)及びその敷地等、④駐車場として会社に貸している土地の4区分がありました。父からは、先祖代々の土地なので処分しないでほしいとの遺言らしきメモもありました。

 ⑴ それぞれの物件をどうするかについて考えたこと

 相続開始後にまずは考えたことは、それぞれの土地についてどうするか(保有、売却など)について考えました。以下は、当時の私の中にあった思考のプロセスをメモの形として再現したものです。

 ➀の空き家となった築50年の実家については、自分自身も既に自宅が別にあり、子も既に自宅を所有していましたので、将来的にもこの家には誰も住むことはないと思い、実家は処分するしかないと思いました。家付きのまま売却先を探すという選択肢ももちろんありましたが、築50年のため買受希望者がおそらく見つからないだろうと判断し、建物を取壊しの上更地として売却するしかないという方針を立てました。売却の値段については、路線価を参考にした時価(路線価÷0.8)でみると約2,300万円となりますが、売却できるまで維持した場合の年間維持費が約40万円以上かかっていまい、また、草抜きや庭木の剪定などの負担もありましたし、実家をそのまま維持するという精神的負担を考慮して何よりも早期に売却することを優先しようと考えました。近隣の土地で売りに出されている土地がありましたが、価額が路線価を上回る価額であったため、数何年もの間売却できていませんでした。そのため、売却価額は業者希望の買取価額でもやむを得ないと判断しました。仮に売却できたとしても、仲介手数料、測量代、建物取壊し費用などの諸費用を差し引くと手残りはかなり少なくなること、また、売却益に係る所得税住民税の負担や個人事業主のため国民健康保険料が上がることを考えると、おそらく手残り金額はさらに減ることとなり期待したほどは残らないと思いました。

 ➁の市街化区域内の畑については、宅地並みの評価額となりますので路線価評価額でみると約2,200万円となりました。畑については、大きさは約800㎡くらいありましたが、自宅からも遠方にあることもあり、当然自分で耕作することはできません。また、春から秋にかけては草が生い茂っていて近所の所有者からは苦情が来ていました。草刈りをするにしても、自分でやるのか、それとも業者に依頼してその費用を負担するしかありません。こういったことを考えると、このまま維持するという選択肢はなく、やはり売却するしかないと考えました。また、相続税の納税資金(概ね1,000万円以上)の手当ても必要でしたので、この土地を売却して納税に充てるという方針も決定しました。もちろん売却後の所得税住民税、国民健康保険料の負担額も含めてトータルでそれ以上の金額は最低でも確保したいという気持ちもありました。相続開始から1か月後に遺産分割協議は成立しましたので、相続税申告・納税の期限までは、あと8か月しかありませんでしたので、何とか申告納税期限までに売却できるようにとスケジュールを優先しました。

 ➂の築50年の貸家については、3軒で毎月10万円の賃料の入金もありましたので、生活費の足しになるのでこのまま維持するという方針もありました。しかし、築50年の貸家であったため、今後の修繕費もいくらかかるか分からないし、また、入居者はいずれも90歳前後であり、家賃の集金で度々訪問する必要もあったことや、内1軒は一人暮らしとなっていましたので孤独死の心配もありました。仮に孤独死されると、特殊清掃で100万円以上の費用がかかりますし、その後はおそらく入居者も見込まれません。他方で、老人の入居者に立退きしてもらうことは、老人の入居者の居住場所を奪うことになりますので大変忍びないが、自分で入居者に対して立ち退き交渉をするもの非常に厄介であり負担も大きいと考えました。したがって、トータルで考えると、このまま維持することは様々なリスクが大きすぎると判断しましたので、入居者ありのこのままの状態(賃貸のまま)で買ってもらえる買取業者を探して売却することとしました。売却する場合の土地の値段については、路線価評価額では約1,000万円となりましたが、やはり土地が所在する地域の問題がありましたし、入居者の立退き費用を負担することを考えると、当然このような金額では売却できません。そうすると、入居者ありのまま売却するとして、仮に今後の賃料の回収期間を長くても5年程度として算定すると、売却できるとしても収入金額は10万円×12か月×5年=600万円として、ここから毎年の修繕費見込み額を控除した金額といったところではないかと想定しました。もちろんその後貸家を取り壊して更地にして活用することもできますので、もう少し高い金額で売却できるかもしれないとも期待することはできます。いずれにしても、不動産投資家から見て投資物件として魅力があるかどうか、いくらまで投資してもよいかなど、どのように考えるかがポイントになると考えました。

 ④の駐車場は、今後の自分たちの老後の生活費の足しにもなりますし、仮に自分が死亡した場合は妻や子・孫の生活費の一部にも充てることができますので、このまま貸駐車場として維持して保有することとしました。遺産分割協議成立後に契約書の更新をするために、契約書を作成し、借地人と交渉することとしました。

 ⑵ 売却に当たり苦労した点について

 以上の方針決定の下、売却すべきものについては、直ちに売却先を探すととも売却のための準備も同時に進めました。

 ➀の実家については、様々な問題がありました。親は戦前生まれで物を大切に扱う(捨てることはしない)性格でしたので、家の中は人が通れないくらい物が溢れていたこと、自宅の隣には工場がありましたがこちらも物で溢れていました。この片付け作業については、自分一人で行うのか、遺品整理業者に頼むかという問題がありました。遺品整理業者に依頼するとしても、相当な量になりますのでかなりの金額になるのではないかと想定されました。また、この土地については、➁の土地と同様に、土地が所在する地域の問題(目の前に堤防を挟んで大きな河川があり水害の心配がありました。)がありましたし、建物の取壊し費用が2棟分かかりますので、仮に売却できたとしても安い値段でしか売却できないし、売却代金から建物取壊し費用等の諸費用を差し引いた手残り金額は、相当少なくなると見込まれました。

 とりわけ苦労したのが、遺品整理業者への支払金額をできるだけ少なくするために、不用品は分別してまとめて出すということでした。2棟分の片付けのために実家に通った回数は、合計30回くらいになりました。60歳半ばの体には、2階から物を下ろす作業も相当な負担であったように思います。仮に10年間そのまま放置したとしたら、10年後の70歳代では、片付け作業は相当に難しいのではないかとも感じましたし、子や孫には片付けの件で迷惑はかけられないと思いました。遺品の中には、レコード、本、カメラ、時計などがあり、できるだけ高い値段で買取業者に買い取ってもらう方法もありましたが、手間もかかるため遺品整理業者の一括買取に任せました。

 ➁の市街化の畑については、相続した当初から耕作する意思はありませんでした。遠方で仕事もあるのでこれだけ大きい土地は耕作して管理することはできないと考えました。試しに3畝程度耕してジャガイモ、サツマイモなど手がかからないものを栽培してそれなりに収穫できましたが、自宅で消費するにしても、人にあげるとしても余るような状況でしたので、これ以上は大きく耕作することはできません。

 一方で、この畑は大変陽当たりもよく、場所も静かな地域でしたので、建売住宅用地としては大変良いと思われましたが、土地が所在する地域の問題(水害の危険がある)があって、地元の業者の数社に当たりましたが、どの業者からも余り良い感触を得られませんでした(査定価額はいずれも1,000万円以下)。最終的には、相続税の納付期限の問題もありましたので、知合いの業者から提示された買取価額が最も高かったので、この業者との契約を進めました。契約をしたので相続から5か月後、引渡は相続税の納期限から半月前ということでギリギリ間に合ったという状態でした。ただし、提示された売買金額(1,200万円)は、路線価価額を大幅に下回るものでしたが、やむを得ませんでした。このように相続税の納税資金に充てるために土地を売却する場合は、買いたたきといった状況が生じますので、売買価額は時価よりも相当低くなりますが、この土地についてはむしろ所在する地域の問題(水害の危険性が高く人気がない地域である)の方が大きかったようです。ところで、この畑の売却した資金で納税資金を捻出するつもりでしたが、手残り金額では納税資金の全額を賄うことができないことが判明しましたので、③の貸家についても併せて早急に売却することを検討しました。もちろん自己資金や相続預金で相続税の納税を済ませることはできましたが、預金残高が減ってしまう心配もありましたし、何よりも実家の維持管理ができない不動産の処分を優先したいという気持ちが強かったです。

 ➂の築50年の貸家については、賃貸物件専門に買い取る業者を探しました。こちらも高齢者が入居していることのリスクを考慮して、業者の買取希望価額もかなり低い金額での提示となりました。ちなみに、この貸家については、買取業者が現れて売却に至るまで半年ほどかかりましたが、最終的には不動産賃貸物件の買取業者(投資会社)が約600万円で買い取ることとなりました。他の業者の査定額は、100万円といったものもありました。こちらは契約即日引渡しとなりましたので、相続税の納税期限の2か月前で売却することができました。後日談となりますが、1年後くらいに、仲介した不動産業者から、買取後半年後に一人暮らしの老人が孤独死したという話を聞きました。その後、買取業者は入居者の全員に立ち退いてもらい、貸家は取り壊したうえで、現在は更地となっています。あれから3年近く経ちますが、跡地は未だに更地のままで売却や開発はできていません。

 以上のように、残念ながら買取業者から提示された買取価額はいずれも路線価よりも相当に低い金額でしたが、自分としては実家の不動産を維持管理することの費用負担や肉体的・精神的な負担といったリスクを考慮して、何よりも維持管理が難しい不動産については処分することを優先しました。父の遺言らしきもの(先祖代々の土地であるので処分しないこと)もあり、若干心の葛藤もありましたが、最終的には、遠方に住んでおり、もはや自分には実家の不動産を維持管理することはできないこと、子や孫の代に問題の先送りをしない方が良いこと、維持管理できないのであれば維持費も相当かかるので利用活用しない不動産はすぐに処分した方が良いことと考えて、他の相続人にも一応相談して処分することの了解を得た上でそれぞれの不動産を処分しました。

 以上のとおり、私は、要らない不動産について管理維持していく負担(リスク)を考慮して売却することを優先しましたが、この辺りは相続人それぞれの考え方によりますので、あくまでも一つの参考としていただければと思います。

5 実家の不動産の売却の相談事例について

 以下では、私の事務所で相続税の申告の依頼をされたお客様で実家の不動産を処分したいというご相談があった事例について、それぞれの問題点と最終的なてん末などについて簡単に触れておきます。うまく売却できた事例は余り参考にもなりませんので、掲載した事例はいずれも比較的ネックがあってうまくいかなかった事例が多いのですが、どこに問題があったのかを考えていただければ結構かと思います。

(相談事例1)遺産分割で相続人間の共有であったため売却がとん挫した事例

 開業した当初の相談事例ですが、被相続人は事業で儲かったお金で多数の不動産(賃貸用物件)を所有していました。ただし、相続税対策でしたと想定されましたが、いずれの物件についても、相続人らが未成年者のときに相続人らの持分も入っていました。賃貸物件としては、➀名古屋市内にある貸事務所であるが借り手がいないまま長期間空き家のまま放置してある築古の区分所有の物件、②同じく名古屋市内にある貸店舗の一戸建てであるが長期間空き家のまま放置してある築古の物件で敷地となる土地の権利関係がややこしい物件、③店舗事務所用の一棟ものの貸しビルであるが立地場所の問題で空き部屋が多い築年数の古い物件、④被相続人が生前事業で使用していた区分所有の建物で、駅近で商店街の一角にあるが、築年数は相当古い物件などがありました。相続人らも④の物件を除いてはすべて売却希望ということでしたので、知り合いの不動産業者に買取業者を探してもらいました。➀、②は一応名古屋市内のはずれにある物件ですが、近隣の物件を見ても空き家となっているものが多い地域にありました。

 私(国税局で差押不動産の公売経験あり)が、現地を見た感想としては、➀、②は名古屋市内にあるといっても周りには空き事務所や店舗がかなり散見しており、とにかく値段ではなく手放すことができればよい物件である、③は地域的にも余り集客が見込まれず、数十年後には建物取壊し費用も発生することを考えると、値段がいくらになるかは別としてとにかく売却を優先した方がよい物件であるという判断でした。いずれの物件についても、おそらくこれから近い将来には誰も買い手がつかなくなると見込まれると感じました。個人的には、④の物件も手放すなら早い方が良いと考えましたが、相続人(配偶者)の思入れもあり売却の意思はありませんでした。いずれにしても、相続人らで意見が一致した➀、②、③の物件について不動産業者に買取業者を探してもらい、何とか不動産業者の努力により、➀、②、③ともに買取価額が高いか低いかは別としてとりあえず値段が付きました。個人的には、➀はよくこんな高い金額が付いたなあ、②は値段はかなかり安かったがとりあえず買う人がいてよかった、③はまあまあの金額で買ってくれる業者がいてよかったなあという感想でした。もともと相続人4人の間では、遺産分割協議も非常に難航していて何とか遺産分割協議はまとまりましたので、相続人らに対して物件の売却についてはどうするかと聞いたところ、当初は①、②、③はいずれも買取業者の提示した売却価額での売却でよいとの回答がありました。子らについては各相続人の相続による取得金額が概ね等しくなるように、また、相続後の共有者の人数はできるだけ少なくなるように数回の遺産分割協議を経て「遺産分割協議書」の内容をまとめ署名押印まで至りました。

 何とか売却に向けて話がまとまりそうになったところで、突然、話合いに同席していた相続人の子(被相続人の孫)から「知り合いの不動産業者に頼めばもっと高く売却できる。」と発言があったため、結局この話はすべて流れてしまいました。それから2年くらいたってから、物件のうちの一つ(おそらくは➂の物件)が売却できたとの話を聞きましたが、果たしていくらで売却したかは分かりませんし、➀、②の物件は今後どうするのだろうかというのが私の感想でした。アドバイスする税理士の立場としては、実家の不動産の売却についてご提案はしますが、売却についてはあくまでも相続人らが全員合意の上で決定すべきで事柄であると考えていますので、このような結果となってもやむを得ません。売却金額について相続人間で調整が不調に終わるということはよくあることで仕方がないと思います。

 ところで、本来、遺産分割についても不動産はできるだけ共有とすべきではないのですが、この案件では、もともとそれぞれの物件に相続人らの持分が入っているという特殊事情がありましたので、いずれの物件も売却して相続人らで持分に応じて売却代金を分けることしかないという方針で進めていました。実家の不動産の売却を前提としている場合に、登記名義は誰にするのか、相続人全員の共有にするのか、遺産分割協議では単独名義とするとしても換価分割か又は代償分割とするか、など難しい判断が必要になります。安易に相続人全員の共有としたり、換価分割での遺産分割とするのは危険かもしれません。 

(相談事例2)空き家となった実家の売却が相続開始後3年経過しても未だにできていない事例

 被相続人は一人暮らしであり、相続開始後は実家は空き家となっていました。相続人らの間の遺産分割協議も問題なく進み、また、相続人らはいずれも自宅を所有していましたので、空き家となった実家についても売却する方針でまとまっていました。実家の立地場所は、春日井市内の中心部にあり、分譲住宅地として非常の良い環境の場所でしたが、唯一の欠点といえば細長い土地であるということでしたが、面積は広いので2つに分筆することも可能という物件でした。売却に向けて知り合いの不動産業者を紹介しましょうかと伝えたところ、親戚に不動産業をしている叔父がいるので、叔父に依頼するということになりました。相続開始から約3年以内に空き家となった実家を売却すれば、売却益に係る譲渡所得から3,000万円の控除ができる特典が適用できることを説明して相続税申告業務は終了となりました。あれから3年近く経ちますが、近くを車で通る度にまだ売却できていないのかというのが正直な感想です。相続人からはこの間に2回ほどメールにて空き家譲渡の特例の期限についての問合せがありましたが、残念ながら期限経過で適用できないという結果となりそうです。

 実家の不動産の売却の依頼先についてはどこの業者にするか、また、売却方法については希望価額での売り出し方式とするか、それとも買取業者による買取価額とするかについては、売却を急ぐ理由があるか、資金をすぐに必要とするかなどを考慮してよく考えてください。業者の査定価額を聞いて希望価額で売り出したもののなかなか売却できず、売出価額についても2回、3回と値下げ(当初の売出価額の半分くらい)してやっと売却できるということもよくある話です。

(相談事例3)夫の相続を機に一人暮らしの母が施設に入所し自宅を売却した事例(生前の売却で居住用財産の譲渡の特例を適用したケース)

 高齢の両親のうちの一人が亡くなり、残された配偶者が一人暮らしをしているケースはよくあります。そのような場合、親が一人暮らしの生活に支障が生じたと判断したときには、介護施設に入所するという選択をすることもあります。実際には、親自身がなかなか施設に入居したがらないので、子にとっては親に納得して施設に入居してもらうこと自体が難しいケースも多いでしょう。

 問題は、まだ認知症にもなっていない元気なうちに施設に入所した場合、果たして親の住んでいた自宅はいつ処分すべきかということではないでしょうか?

 親の気持ちとしては、戻る家がなくなってしまうのは寂しいということかもしれません。しかし、施設に入所した後、仮に認知症が悪化してしまうと、今後は親に判断能力がないということになり、もはや自宅を売却することはできなくなってしまいます。そうすると、いつになるかは分かりませんが、子らは相続開始を待って売却するしかありません。1年後か10年後かいつになるか全く分かりませんが、その間は空き家の自宅の維持管理をして、固定資産税や電気ガス水道代などの維持管理費も負担することになりますので、相当な金額になってしまいます。人はいつ死ぬかが分からないため、どちらを選択するかの判断が難しくて非常に悩ましい問題です。

 節税の点から言えば、選択としては、①施設に入所した親が生きているうちに自宅を売却して居住用財産譲渡の特例(3,000万円控除)を受けるか、あるいは、②親が施設で亡くなってから自宅を処分して空き家譲渡の特例(3,000万円控除)を受けるか、のどちらかになります。どちらの方法を選択するかは、親の意思・子の実家への思い、その間の維持管理の負担、介護施設の費用の支払資金の手当てなどを考慮して決めるしかないでしょう。注意しなければならないのは、①を選択するとした場合、自宅に住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却することが必要であるということです。施設入所後3年以上経過した場合には、もはや親が亡くなってから②の方法を選択するしかほかないということです。この点は、なかなか悩ましい選択です。

 この相談者のケースは、夫死亡後に一人暮らしとなった妻が一人での生活に支障を感じるとともに、お試しで介護施設に入所してみたら案外快適な生活ができたということから、一人暮らしの親は、相続手続後すぐに施設に入所することとなり、不要になった実家の処分についても妻がどうしてくれたため、早期に自宅を売却することができたケースでした。相続人である妻及び長男に対しては、上記のような説明をして、①か➁かどちらかを選択するかを決めていただいた結果です。

(相談事例4)相続人らがそれぞれ遠方に居住していたため一人暮らしの親の葬儀後直ちに実家の片付けを行っていた事例(相続人らは当初空き家譲渡特例を知らず)

 この相談者からは、遠方に住む一人暮らしの親の葬儀の前日に電話で相続税申告書の作成依頼の相談がありました。相続人である子(長男及び二男)は、いずれも遠方に居住しており、既にそれぞれ自宅を所有していましたし、仕事の関係から度々実家に帰ることもできないということから、遺産分割協議も葬儀の翌日中に合意した上で、葬儀の翌日から遺品整理業者、自宅の買取業者も呼んで、兄弟2人で実家の片付けをしていました。2人ともに自宅にある物は買取可能な物を除きすべて捨てるという方針でした。速やかに実家も売却するということでしたので、今回は空き家譲渡の特例が適用できるケースなので、譲渡所得の計算上3,000万円控除ができることをアドバイスしました。空き家譲渡の特例を適用するに当たっては、自宅の片付けの前に行ってほしいこととして、①自宅の土地建物の取得価額が分かる「売買契約書」を探すこと、②市役所に相談して空き家の確認申請書に必要な書類を確認すること(電気ガス水道を止めるタイミングを確認する)、③地元の不動産業者には空き家譲渡特例を適用する前提で手続を進めていただくことをアドバイスしました。併せて、市役所によっては、建物取壊し費用の補助金もあるかもしれないので一度確認した方が良いことも伝えました。その後、相続人らからは、「売買契約書」は何とか見つかったこと、市役所で空き家譲渡の確認申請をして確認が受けられる見込みであることの連絡がありました。

 このケースは非常に特殊なケースかもしれませんが、親が亡くなってから実家を慌てて片付けてしまうと、重要な「売買契約書」が紛失したり、後になってからでは空き家譲渡の確認申請書に必要な書類等が揃わないといったこともありますので、できれば事前に実家の売却に関して税理士に相談した方が良いでしょう。

(相談事例5)「遺産分割協議書」では自宅は換価分割を目的として長男が取得するが、長男及び長女の間では実家の処分時期については別途「覚書」を作成したケース

 亡父の相続人は、母、長男、長女の3人でした。遺産としては、自宅、築古の貸家の2つがありました。母は軽い認知症のため施設に入所していた。遺産分割協議では、長男は、長男がすべてを取得すること、自宅も貸家もすぐにでも売却したいこと、遺産を取得する代わりに母の施設費用を支払っていくことを提案していたが、長女からは、遺産の半分程度は欲しいこと、自宅は愛着があるので数年間はまだ売却したくないとの意見が出された。

 協議の中で、長男は長女に対して不動産の売却代金の半分を交付することとしてもよいが、売却に関して自分で決定したいので登記名義は長男としたいとの意見が出されましたが、最終的には、長男が長女の意向を取り入れて、①「遺産分割協議書」の内容については、長男が自宅及び貸家については換価分割を目的(売却代金から諸費用を差し引いた残額の半分を長女に対して交付する)として取得することとし登記名義人は長男とすること、②自宅の売却時期については長男及び長女が協議の上決定すること、また、売却までの自宅に係る維持管理費用については長男及び長女が均等に負担することとし、その旨の「覚書」を作成しました。

 この事例のように、実家の売却処分に関して、実家を処分することでは相続人間で意見は一致しているものの、売却時期について相続人間で意見がまとまらないこともあることもあります。相続人の中には、感情論から数年間は処分したくないという相続人もいますので、早期に処分することのメリットと維持管理することのデメリットを比較考慮して合理的に検討するしかありません。また、売却時期や維持管理費用の負担を巡って、後日紛争が生じないように「覚書」を作成することも検討すべきでしょう。

(相談事例6)亡夫の相続で遠方にある実家等の不動産を相続したが売却金額にこだわらずに処分を進めた事例

 被相続人は東北地方の出身の二男でした。もともとは実家の不動産については、実家の近くに住む長男が相続することになっていました。これについては、二男も了解していた事項でした。ところが、被相続人の長男が被相続人らの父よりも先に亡くなったため、二男がやむを得ず実家の不動産を相続することになりました。二男は実家の不動産を相続した後、病気のため死亡してしてしまいました。今回の被相続人の相続では、預貯金、株式、自宅のほか、東北地方にある実家の不動産も相続の対象になっていました。実家の不動産は、自宅兼店舗、雑種地、田舎の方にある畑と3ヵ所に物件はありましたが、雑種地は住宅用地として何とかある程度の金額で売却できるかもしれないが、東日本大震災で被災した地域にあるため、買受人を探すのが難しい物件でした。また、自宅兼店舗は相続税評価額は1,000万円以上の金額がついていましたが、一方で築年数も相当古く取壊費用も1,000万円近く係る見込みの物件でした。田舎の畑はそもそも買受人がいないのではないかとも想定されました。今回のケースでは、遠方の田舎の物件ですので、今後の維持管理が容易にできないこと、維持管理の費用負担も相当な金額がかかること、このまま残ってしまうと次に子や孫が相続したときに大変な負担となることから、現時点でとにかく全ての物件を売却して身軽になることがなによりも重要であるとアドバイスしました。

 そこで、相続人らと数回話合いを行った結果、すべての物件を売却することを最優先とし、売却金額(お金)についてはこだわらないという選択をすることとなりました。立場上売却先をあっせんすることもできませんので、自分で新聞広告や雑誌で掲載された空き家や田舎の不動産の買取専門業者を探して当たっていただくこととなりました。田舎の畑は隣近所の方しか買受希望者はいないので隣近所に当たった方が良いこと、一番厄介な自宅兼店舗は雑種地とセットでも買い取ってもらうということとしました。相続人の方は、粘り強く買取業者や近隣者に当たった結果、2年後に田舎の畑は隣の人が、自宅兼店舗と雑種地は買取業者がそれぞれ買い取りすることで話がまとまりました。ただし、売買金額は、いずれも数十万円程度にすぎませんでしたが、建物取壊し費用などを考えるとマイナスにもなりかねない状況の中で、何よりもすべての実家の不動産が売却できて大変良かったという結果でした。このケースでは、相続人らがお金(売買金額)よりも厄介な実家の不動産をすべて処分することを最優先した取組みによって成果をあげることができた事例であるといえます。

(相談事例)一次相続で配偶者が元事業用不動産の処分ができず二次相続では子が実家の処分をためらっている事例

 一次相続の被相続人(夫)は事業を行っていましたが、高齢のため死亡の数年前に廃業し、事業用土地建物が残っていました。相続した相続人の妻もこの事業用土地建物については売却することを決めていましたが、バブル期に1億3千万円で購入した土地であったため、不動産業者の提示する査定書の価額(7,000万円弱)はこれよりもかなり低く、最終的には生前には売却するに至りませんでした。一次相続から3年経過し、今度は妻に二次相続が開始しました。相続人としては、娘が2人いましたが、いずれも自宅を所有しており、実家は二女が相続しましたが、二女は実家の片付け作業や気持ちの問題から、当面数年間は自宅を処分しないとの意向でした。一方で、事業用土地建物については、新たに探した買取業者の買取価額に納得し、売却する運びとなりました。

 一次相続及び二次相続でのいずれの相談においても、①相続税の取得費加算の特例(相続により取得した土地を相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定の金額が取得費に加算できます。)、②空き家譲渡の3,000万円控除の特例(相続開始があった日から3年経過した年の12月31日までに実家(昭和56年5月31日以前に建築されたもの)を譲渡したことが条件となります。)についてアドバイスをしました。

 この事例では、①事業用の土地建物については、一次相続の相続税申告期限から3年以内に売却が決まりましたので、ギリギリ相続税の取得費加算の特例を適用することができました。一方で、②実家(昭和56年5月31日以前に建築された建物であり要件は満たしています。)については当面は相続人には売却の意思がありませんので、おそらくは空き家譲渡の特例は適用できないものと想定されます。期限経過後に実家を売却した場合には、3,000万円控除が受けられず、多額の所得税を負担することになってしまいますが、相続人の意思を尊重すべきですのでやむを得ないものと考えています。幸いなことに実家の土地は相続により取得したものではなく他者から購入したものであり、購入時の「売買契約書」も見つかりましたので、おそらくは譲渡所得は算定されないことが見込まれることから、仮に空き家譲渡の特例が適用できなくても譲渡所得の計算上は問題はないでしょう。

(相談事例8)相続税申告で家なき子特例(居住用小規模宅地等の特例)の適用を受けて、その後空き家となっていた実家を売却した際に空き家譲渡の特例を適用して相続税も所得税も節税を図った事例

(相談事例9)「代償分割」の方法により実家について遺産分割協議を行った上で処分した事例(事業を行っている相続人から国民健康保険料の負担を抑えたいとの意向が示された)

(相談事例10)被相続人と同居する相続人が実家を相続したいとの申し出をしたが、相続人らの間で遺産分割を巡って争いになり、最終的に行政書士に相談して実家は売却して諸費用を控除した残額を相続人らで取得する旨の換価分割による「遺産分割協議書」を作成することとし、他方で同居していた相続人は遺産分割協議成立前に新たに自宅を取得したため、結果的に居住用財産の譲渡所得の特例ができなかった事例(譲渡所得の申告書の作成の依頼を受けた事案)

6 実家の不動産についての遺産分割をどうするか?

 ⑴ 「資産分割協議書」の作成アドバイスは誰がするのが望ましいか?

 ⑵ 「遺産分割協議書」を作成する場合は、相続税節税、所得税節税を考慮して作成すべきと考えます

 ⑶ 「遺産分割協議書」の各種の作成パターンは?

 ⑷ 

7 生前の対策についてどう考えるか?