基礎から学ぶ遺言相続(遺言21)

自筆遺言証書の保管についてはどうするべきか?

 せっかく自筆証書遺言を作成しても、死亡後にそれが発見されなければ、遺言者の思いが実現されません。また、死亡後に遺言がないと思って相続人間で遺産分割をした後に遺言書が発見されると、遺産分割は無効になってしまいます。

 他方で、死後に相続人の誰かが、自筆証書遺言を発見したとして、自身に都合の悪い内容となっていた場合には、もしかすると遺言書を破棄したり、変造したりすることもあるかもしれません。また、火災等で遺言書が焼失してしまう可能性もあります。

 このため、自筆遺言証書の保管場所については、よく考えなければなりません。

 仮に、遺言者が、自身が取引する取引銀行の貸金庫に保管するとした場合には、保管は完璧ですが、相続人全員の同意がない限り貸金庫の開扉ができませんので、速やかな遺言の執行ができません。

 この点については、例えば、遺産の大半を相続させる予定の受遺者を遺言執行者として指名し、その受遺者に対して保管を依頼する方法が考えられます。あるいは、遺言書作成のサポートをお願いした行政書士や税理士などの士業の方を遺言執行者に指名し、その者に保管を依頼する方法もあります。通常、士業の方は、金融機関の貸金庫に保管していることが多いと思われます。

 自筆証書遺言に限らず、遺言書は執行(遺言内容が実現)されてこそ、意味があるものです。

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