基礎から学ぶ遺言相続講座(遺言4)
遺言書を作成するメリットとは何でしょうか?
遺言書とは、生涯をかけて築いて守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうための被相続人の意思表示です。
遺言書を書くことによるメリットには、3点あります。
➀遺言書を作成することにより、被相続人の生前の意思(希望)が叶います。
②遺言書があることで、将来の争族争いを未然に防止することができます。
③遺言書があることによって、相続手続がスムーズにいきます。
1つ目の生前の意思(希望)が叶うとは、例えば、おひとり様であれば、お世話になった人に遺産をあげたり、ペットの世話を託す人に遺産をあげることができます。あるいは、事業を特定の相続人(後継ぎ)に承継させることができます。さらに、相続権のない孫や子の嫁や内縁の妻に遺産をあげることができます。
2つ目の将来の争族争いを未然に防止することができるとは、遺言書がなくて遺産分割協議が円滑にまとまらず、争族になってしまいますと、家庭裁判所での遺産分割調停・審判で解決することになり、時間(解決まで短くても1年から2年以上)と費用(弁護士費用も数十万円から数百万円)がかなりかかります。遺言書があれば、遺留分を侵害しない限り、例え一部の財産しかもらえない相続人であってもそれ以上争うことはできません。
3つ目の相続手続がスムーズにいくとは、遺言書(特に家庭裁判所の検認が不要な公正証書遺言や法務局保管男自筆証書遺言)があれば、直ちに預金の払戻や不動産の相続登記ができますので、当面の葬式代や医療費、生活費の支払にも支障が生じません。
遺言書がなければ、相続人間での話合いによる遺産分割協議によることになりますので、簡単にまとまる保障はありません。このように、遺言書には、様々なメリットがあるので、ぜひとも準備しておきたいものです。